小児科専門医を目指す先生方へ小児科専攻医の到達目標


日本小児科学会が定めた小児科専門医としての役割を3年間で身につけるようにしてください(研修手帳に記録してください)。 これらは6項で述べるコア・コンピテンシーと同義です。
| 役割 | 1 年 目 |
2 年 目 |
修 了 時 |
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|---|---|---|---|---|
| 子どもの 総合診療医 |
子どもの総合診療
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成育医療
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小児救急医療
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地域医療と社会資源の活用
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患者・家族との信頼関係
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| 育児・ 健康支援者 |
プライマリ・ケアと育児支援
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健康支援と予防医療
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| 子どもの代弁者 | アドヴォカシー(advocacy)
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| 学識・研究者 | 高次医療と病態研究
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国際的視野
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| 医療の プロフェッショナル |
医の倫理
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省察と研鑽
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教育への貢献
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協働医療
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医療安全
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医療経済
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日本小児科学会が定めた経験すべき33症候のうち8割以上(27症候以上)を経験するようにしてください(研修手帳に記録して下さい)。
| 症候 | 1年目 | 2年目 | 修了時 |
|---|---|---|---|
| 体温の異常 | |||
| 発熱,不明熱,低体温 | |||
| 疼痛 | |||
| 頭痛 | |||
| 胸痛 | |||
| 腹痛(急性,反復性) | |||
| 背・腰痛,四肢痛,関節痛 | |||
| 全身的症候 | |||
| 泣き止まない,睡眠の異常 | |||
| 発熱しやすい,かぜをひきやすい | |||
| だるい,疲れやすい | |||
| めまい,たちくらみ,顔色不良,気持ちが悪い | |||
| ぐったりしている,脱水 | |||
| 食欲がない,食が細い | |||
| 浮腫,黄疸 | |||
| 成長の異常 | |||
| やせ,体重増加不良 | |||
| 肥満,低身長,性成熟異常 | |||
| 外表奇形・形態異常 | |||
| 顔貌の異常,唇・口腔の発生異常,鼠径ヘルニア,臍ヘルニア,股関節の異常 | |||
| 皮膚,爪の異常 | |||
| 発疹,湿疹,皮膚のびらん,蕁麻疹,浮腫,母斑,膿瘍,皮下の腫瘤, 乳腺の異常,爪の異常,発毛の異常,紫斑 |
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| 頭頸部の異常 | |||
| 大頭,小頭,大泉門の異常 | |||
| 頸部の腫脹,耳介周囲の腫脹,リンパ節腫大,耳痛,結膜充血 | |||
| 消化器症状 | |||
| 嘔吐(吐血),下痢,下血,血便,便秘,口内のただれ,裂肛 | |||
| 腹部膨満,肝腫大,腹部腫瘤 | |||
| 呼吸器症状 | |||
| 咳,嗄声,喀痰,喘鳴,呼吸困難,陥没呼吸,呼吸不整,多呼吸 | |||
| 鼻閉,鼻汁,咽頭痛,扁桃肥大,いびき | |||
| 循環器症状 | |||
| 心雑音,脈拍の異常,チアノーゼ,血圧の異常 | |||
| 血液の異常 | |||
| 貧血,鼻出血,出血傾向,脾腫 | |||
| 泌尿生殖器の異常 | |||
| 排尿痛,頻尿,乏尿,失禁,多飲,多尿,血尿,陰嚢腫大,外性器の異常 | |||
| 神経・筋症状 | |||
| けいれん,意識障害 | |||
| 歩行異常,不随意運動,麻痺,筋力が弱い,体が柔らかい, floppy infant | |||
| 発達の間題 | |||
| 発達の遅れ,落ち着きがない,言葉が遅い,構音障害(吃音),学習困難 | |||
| 行動の間題 | |||
| 夜尿,遺糞 | |||
| 泣き入りひきつけ,夜泣き,夜驚,指しゃぶり,自慰,チック | |||
| うつ,不登校,虐待,家庭の危機 | |||
| 事故,傷害 | |||
| 溺水,管腔異物,誤飲,誤嚥,熱傷,虫刺 | |||
| 臨死,死 | |||
| 臨死、死 | |||
日本小児科学会が定めた経験すべき109疾患のうち、8割以上(88疾患以上)を経験するようにしてください(研修手帳に記録してください)。
| 新生児疾患,先天異常 | 感染症 | 循環器疾患 | 精神・行動・心身医学 |
|---|---|---|---|
| 低出生体重児 | 麻疹, 風疹 | 先天性心疾患 | 心身症,心身医学的問題 |
| 新生児黄疸 | 単純ヘルペス感染症 | 川崎病の冠動脈障害 | 夜尿 |
| 呼吸窮迫症候群 | 水痘・帯状疱疹 | 房室ブロック | 心因性頻尿 |
| 新生児仮死 | 伝染性単核球症 | 頻拍発作 | 発達遅滞,言語発達遅滞 |
| 新生児の感染症 | 突発性発疹 | 血液,腫瘍 | 自閉症スペクトラム |
| マス・スクリーニング | 伝染性紅斑 | 鉄欠乏性貧血 | AD/HD |
| 先天異常,染色体異常症 | 手足口病、ヘルパンギーナ | 血小板減少 | 救急 |
| 先天代謝,代謝性疾患 | インフルエンザ | 白血病,リンパ腫 | けいれん発作 |
| 先天代謝異常症 | アデノウイルス感染症 | 小児がん | 喘息発作 |
| 代謝性疾患 | 溶連菌感染症 | 腎・泌尿器 | ショック |
| 内分泌 | 感染性胃腸炎 | 急性糸球体腎炎 | 急性心不全 |
| 低身長,成長障害 | 血便を呈する細菌性腸炎 | ネフローゼ症候群 | 脱水症 |
| 単純性肥満,症候性肥満 | 尿路感染症 | 慢性腎炎 | 急性腹症 |
| 性早熟症,思春期早発症 | 皮膚感染症 | 尿細管機能異常症 | 急性腎不全 |
| 糖尿病 | マイコプラズマ感染症 | 尿路奇形 | 虐待,ネグレクト |
| 生体防御,免疫 | クラミジア感染症 | 生殖器 | 乳児突然死症候群 |
| 免疫不全症 | 百日咳 | 亀頭包皮炎 | 来院時心肺停止 |
| 免疫異常症 | RSウイルス感染症 | 外陰膣炎 | 溺水,外傷,熱傷 |
| 膠原病,リウマチ性疾患 | 肺炎 | 陰嚢水腫,精索水腫 | 異物誤飲・誤嚥,中毒 |
| 若年性特発性関節炎 | 急性中耳炎 | 停留精巣 | 思春期 |
| SLE | 髄膜炎(化膿性,無菌性) | 包茎 | 過敏性腸症候群 |
| 川崎病 | 敗血症,菌血症 | 神経・筋疾患 | 起立性調節障害 |
| 血管性紫斑病 | 真菌感染症 | 熱性けいれん | 性感染,性感染症 |
| 多型滲出性紅斑症候群 | 呼吸器 | てんかん | 月経の異常 |
| アレルギー疾患 | クループ症候群 | 顔面神経麻痺 | 関連領域 |
| 気管支喘息 | 細気管支炎 | 脳炎,脳症 | 虫垂炎 |
| アレルギー性鼻炎・結膜炎 | 気道異物 | 脳性麻痺 | 鼠径ヘルニア |
| アトピー性皮膚炎 | 消化器 | 高次脳機能障害 | 肘内障 |
| 蕁麻疹,血管性浮腫 | 腸重積 | 筋ジストロフィー | 先天性股関節脱臼 |
| 食物アレルギー | 反復性腹痛 | 母斑,血管腫 | |
| アナフィラキシー | 肝機能障害 | 扁桃,アデノイド肥大 | |
| 鼻出血 |
日本小児科学会が定めた経験すべき54技能のうち、8割以上(44技能以上)を経験するようにしてください(研修手帳に記録してください)。
| 身体計測 | 採 尿 | けいれん重積の処置と治療 | |
| 皮脂厚測定 | 導 尿 | 末梢血液検査 | |
| バイタルサイン | 腰椎穿刺 | 尿一般検査、生化学検査、蓄尿 | |
| 小奇形・形態異常の評価 | 骨髄穿刺 | 便一般検査 | |
| 前弯試験 | 浣 腸 | 髄液一般検査 | |
| 透光試験(陰嚢,脳室) | 高圧浣腸(腸重積整復術) | 細菌培養検査、塗抹染色 | |
| 眼底検査 | エアゾール吸入 | 血液ガス分析 | |
| 鼓膜検査 | 酸素吸入 | 血糖・ビリルビン簡易測定 | |
| 鼻腔検査 | 臍肉芽の処置 | 心電図検査(手技) | |
| 注射法 | 静脈内注射 | 鼠径ヘルニアの還納 | X線単純撮影 |
|---|---|---|---|
| 筋肉内注射 | 小外科,膿瘍の外科処置 | 消化管造影 | |
| 皮下注射 | 肘内障の整復 | 静脈性尿路腎盂造影 | |
| 皮内注射 | 輸血 | CT検査 | |
| 採血法 | 毛細管採血 | 胃 洗 浄 | 腹部超音波検査 |
| 静脈血採血 | 経管栄養法 | 排泄性膀胱尿道造影 | |
| 動脈血採血 | 簡易静脈圧測定 | 腹部超音波検査 | |
| 静脈路 確保 |
新生児 | 光線療法 | |
| 乳児 | 心肺蘇生 | ||
| 幼児 | 消毒・滅菌法 | ||
当プログラムでは様々な知識・技能の習得機会(教育的行事)を設けています。
研修内容は各施設によって異なりますが、当研修プログラムの最低要件を設定しています。
京都大学医学部附属病院で開催される教育的行事への参加が可能な他、論文指導を受けることを義務づけています。
当プログラムでは、3年間の研修を通じて科学的思考、生涯学習の姿勢、研究への関心などの学問的姿勢も学んでいきます。
また、小児科専門医資格を受験するためには、査読制度のある雑誌に小児科に関連する筆頭論文1編を発表していることが求められます。 論文執筆には長期間の準備を要しますので、研修2年目のうちに指導医の助言を受けながら、論文テーマを決定し、投稿の準備を始めることが望まれます。
コアコンピテンシーとは医師としての中核的な能力あるいは姿勢のことで、第3項の「小児科専門医の役割」に関する到達目標が、これに該当します。 特に「医療のプロフェッショナル」は小児科専門医としての倫理性や社会性に焦点を当てています。