小児科専門医を目指す先生方へロードマップ[整備基準:13-16, 30]

小児科専門医を目指す先生方へ 専門研修の評価

小児科専門医研修はどのように行われるか

豊富な関連医療機関と連携しつつ、小児科の日常診療において重要な common disease、小児救急、高度な専門的知識を要する難治性疾患に対する対応などをバランスよく学ぶことができます。
3年間の小児科専門研修では、日本小児科学会が定めた「小児科医の到達目標」のレベルAの臨床能力の獲得をめざして研修を行います。到達度の自己評価と指導医からのアドバイスを受けるために、「小児科専門研修手帳」を常に携帯し、定期的に振り返りながら研修を進めてください。

臨床現場での学習

外来、病棟、健診などで、到達目標に記載されたレベルAの臨床経験を積むことが基本となります。
経験した症例は、指導医からフィードバック・アドバイスを受けながら、診療録の記載、サマリーレポートの作成、研修手帳への記載(ふりかえりと指導医からのフィードバック)、臨床カンファレンス、抄読会、症例検討会、CPC等での発表などを経て、知識、臨床能力を定着させてゆきます。


  • 「小児科専門医の役割」に関する学習:日本小児科学会が定めた小児科専門医の役割を3年間で身につけるようにしてください(次項参照、研修手帳に記録)。
  • 「経験すべき症候」に関する学習:日本小児科学会が定めた経験すべき33症候のうち8割以上(27症候以上)を経験するようにしてください(次項参照、研修手帳に記録)。
  • 「経験すべき疾患」に関する学習:日本小児科学会が定めた経験すべき109疾患のうち8割以上(88症候以上)を経験するようにしてください(研修手帳に記録)。
  • 「習得すべき診療技能と手技」に関する学習:日本小児科学会が定めた経験すべき54技能のうち、8割以上(44技能以上)を経験するようにしてください(研修手帳に記録)。

<京都大学・小児科専門研修プログラムの年間スケジュール>

本プログラムにおける主要な行事や学会を列記しています。
学会の日程などは年度によって多少前後することがあります。









研修開始前ガイダンス(研修医および指導医に各種資料を配布)
<京都大学・小児科専門研修プログラム歓迎会・修了式>
各研修病院での研修開始前ガイダンス
指導医との個別相談:年次目標の設定、指導計画の提出
研修手帳・症例レポート等の提出、研修管理委員会での研修終了判定(**)
≪研修管理委員会≫
・研修修了予定者の修了判定
・各専攻医の研修目標および進捗状況の把握
・次年度へ向けた研修プログラム改訂、採用計画などの策定
<日本小児科学会学術集会>
専門医認定審査書類の準備
<日本小児科学会京都地方会>
専門医認定審査書類の専門医機構への提出
<小児科専門医取得のためのインテンシブコース>
小児科専門医試験
臨床能力評価(Mini-CEX)を1回受ける
指導医との個別相談:到達度評価、指導報告書の提出
<日本小児科学会京都地方会>
該当者 専門医更新、指導医認定・更新書類の提出
10 ≪研修管理委員会≫
・研修の進捗状況の確認
・次年度採用予定者の書類審査、面接、筆記試験
・次年度採用者の決定
12 <日本小児科学会京都地方会>
臨床能力評価(Mini-CEX)を1回受ける
360度評価(年1回)
指導医との個別相談:到達度評価、指導報告書の提出
専攻医による研修プログラム評価
≪研修管理委員会≫
・各専攻医の年次評価
・研修プログラム評価の総括
<近畿小児科学会>
該当者 専門医更新、指導医認定・更新書類の提出

<当研修プログラムの週間スケジュール(京都大学医学部附属病院の例)>

小児科病棟での研修

土・日
8:00-8:30 受持患者情報の把握 日当直
(約月1回)
8:30-9:00 朝の申し送り(当日予定・連絡事項の共有)
9:00-12:00 病棟業務
(週1回・外来処置当番)
心臓
カテーテル
病棟業務
12:00-13:00
13:00-17:00 病棟業務 総回診 病棟業務 病棟業務
小児科
症例検討会
勉強会
*血液腫瘍C
17:00-17:30 夕の申し送り(治療方針検討)
17:30-19:00 *循環器C
心臓外科C
*免疫C *腫瘍合同C *神経C
当直(約週1回)

※これらの臨床グループカンファレンスにおいては、各専門領域の症例検討会や勉強会・抄読会などが行われています。専攻医はこれらのカンファレンスで担当患者や興味のあるサブスペシャリティーについて、より専門的に勉強を深めることが出来ます。また、それぞれの臨床グループのカンファレンスとともに、看護師・病棟保育士やコメディカルスタッフとのチームカンファレンスを行っています。


NICUでの研修

土・日
8:00-8:30 受持患者情報の把握 日当直
(約月1回)
8:30-9:00 NICU回診
9:00-12:00 病棟業務 総回診 病棟業務
12:00-13:00 抄読会
13:00-17:00 予定帝切
立会い
病棟業務 病棟業務 病棟業務
チームC
NICU回診 産科C NICU回診
17:00-17:30 NICU回診
17:30-19:00 症例検討会
当直(約週1回)

<当研修プログラムの週間スケジュール(連携施設・関連施設での研修の例)>

土・日
8:00-8:30 受持患者情報の把握 日当直
(約月1回)
8:30-9:00 朝カンファレンス(申し送り・当日予定・連絡事項の共有)
9:00-12:00 病棟業務 一般外来 病棟業務 一般外来 病棟業務
12:00-13:00
13:00-17:00 病棟業務 予防接種
乳幼児健診
病棟業務
夕カンファレンス(申し送り・治療方針検討)
17:00-19:00 症例検討会 ふりかえり*
当直(約週1回)

研修内容は各施設によって異なりますが、当研修プログラムでの最低要件を設定しています。詳細は3−2を参照して下さい。 その他、論文指導(3年間で1編以上)を受けること義務づけています。

臨床現場を離れた学習

以下の学習機会を利用して、到達目標達成の助けとしてください。

  • 日本小児科学会学術集会、分科会主催の学会、地方会、研究会、講習会等への参加
  • 小児科学会主催の「小児科専門医取得のためのインテンシブコース」(1泊2日):到達目標に記載された24領域に関するポイントを3年間で網羅して学習できるセミナー
  • 学会等での症例発表
  • 日本小児科学会オンラインセミナー:医療安全、感染対策、医療倫理,医療者教育など
  • 日本小児科学会雑誌等の定期購読および症例報告等の投稿
  • 論文執筆:専門医取得のためには、小児科に関する論文を査読制度のある雑誌に1編以上報告しなければなりません。論文執筆には長期間の準備を要しますので、指導医の助言を受けながら、早めに論文テーマを決定し、論文執筆の準備を始めてください。

自己学習

到達目標と研修手帳に記載されている小児疾患、病態、手技などの項目を自己評価しながら、不足した分野・疾患については自己学習を進めてください。 個人の経験に応じて適宜自己学習を進められるよう、図書館や医学教育推進センターにDVDやオンデマンド教材を配置しています。 それらの自己学習の進捗や成果については、指導医とのふりかえりの際にフィードバックを受け、研修手帳に記載して下さい。

大学院進学

小児科専門研修期間中は、小児科学の大学院進学は採用しておりません。


サブスペシャリティ分野における専門医を育てるための院内での取り組み

小児難治性疾患では、専門の施設で、正確な診断をした上で、標準的な治療をすることが基本となります。その基本的能力を確実なものにするために、できるだけ多くの症例を経験させること、一例一例を掘り下げる姿勢を身につけさせること、他者の意見を聞いて自分の意見も伝えるコミュニケーション能力を養うことなどを重視しています。 具体的には入門(卒後2〜4年)、養成(卒後5〜10年)、強化(卒後10〜15年)と、段階ごとに研修内容を組み立て、実践的に治療の現場に関わりつつ、学会や勉強会、論文抄読会などにも参加しながら、バランスよく能力を磨けるよう配慮しています。

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